私の食に対する意識をガラリと変えた本。「フードトラップ」を読んだ感想と、食欲の暴走を止める簡単な方法について。

2021/05/27

Life Style

t f B! P L

あなたは一度開けたポテトチップスの袋を途中でそっと閉じて、次に取っておくことができますか?

私はできません。 (笑)

最近、「フードトラップ:食品に仕掛けられた至福の罠」という本を読みました。 

500ページ以上もある分厚い本で、そこそこ読むのは大変でしたが、ようやく読み終えてみて、「もっと早く知ってたら、ダイエットも楽だっただろうなー」と思いました。

私は以前11㎏の減量に成功しましたが、この本に書かれていることを知っていれば、そもそもそんなにおデブになることもなかったんじゃないかと思います。 

この本のボリュームを見ただけでげんなりしてしまうかもしれませんが、食品産業のリアルな裏舞台が描かれたこの本はちょっとしたミステリー小説よりもよっぽどスリリングで、興味深いものでした。

脳科学や心理学、マーケティングなどに興味のある人なら面白く読み進められるのではないでしょうか。 

しかし、私としては、過去の私のように、「本気で痩せたいとは思っているけど、なかなか食欲が抑えられない」という方に、特におすすめしたい本です。 

私たちがなぜ、ジャンクフードに手を出してしまうのか、甘いものの誘惑に打ち勝つことができないのか、この問いに対する答えはこの本の中に記されています。 

それは、決して意思の弱さが原因ではありません。 

そこで、この記事では、本書の内容から、本気で痩せたい人が最低限知っておくと役立ちそうな情報を、かいつまんでご紹介してみたいと思います。

最後に、この食品会社が仕掛けるトラップから逃れるための、簡単な裏技についてもご紹介しておきますので、是非参考にしてみてください。

・著者について
ニューヨークタイムズの記者であるマイケル・モスは、2010年に食肉汚染の調査報道でピュリツァー賞を受賞、1999年と2006年にもファイナリストに残っているほどの実力を誇るジャーナリストです。 

マイケル・モスは、この本を執筆するにあたり、加工食品産業に関わる人たちへ数百回に及ぶインタビューを行い、情報源として1000件以上の科学論文や研究報告を用いています。

また、情報収集のために、大手食品メーカーの重役や、研究者らと食事を共にしたりもしています。 

そう聞くと、何かしらの忖度があるのではないかと、つい勘繰りたくもなってしまいますが、書かれている内容は至って客観的かつ中立的な印象を受けました。 

著者はこの本を書いた狙いを”食品産業に存在する問題や戦術を読者に伝えること、そしてわれわれは無力ではないと知ってもらうことだ”と記しています。 

そして、こうも訴えています。 

こうした実態を知ることで、(私たちは)力を手に入れることができる”と。 

 マイケル・モスは、”糖・脂肪・塩”の3つの成分を加工食品メーカーの兵器に例えました。

私たちの食欲は、この兵器によってコントロールされているといっても過言ではありません。 

そして、この本を読んで、残念ながらそれが決して大げさな表現でないことが、よく理解できました。 

やめられない、止まらない、ジャンクフードの真実


アメリカのミシガン大学の研究によると、中毒性のある食品トップ3は以下の3つなのだそうです。 
1.ピザ 
2.チョコレート 
3.ポテトチップス 

さて、この3つに共通するものと言えば何でしょう。 

そう、”糖分・脂肪分・塩分”です。 

糖・脂肪・塩と言えば、言わずと知れた太る3大要素です。 

イモ(炭水化物)を油(脂肪)で揚げて塩を利かせた太る代名詞のような食べ物”ポテトチップス”なんかは、見事にこの3つを網羅していますね。

因みに、甘いイメージのチョコレートにも、僅かですが塩分が含まれています。 

塩で太るというイメージはあまりないかもしれませんが、塩分を取り過ぎると浮腫みやすくなり、浮腫みは代謝力の低下につながります。  

しかし、それ以上に怖いのは、糖・脂肪・塩の3つの成分は相互に作用し、私たちの食欲を暴走させているという事実。

そして、食品産業はこの3つの成分が無くては成り立たないとほど、糖・脂肪・塩に頼り切っているということです。

「フードトラップ:食品に仕掛けられた至福の罠」の原題は、「Salt, Sugar, Fat : How The Food Giants Hooked Us」、直訳すると「塩、砂糖、脂肪:食品の巨人は私たちをどのように夢中にさせたか」。

この糖分・脂肪分・塩分の3つの成分は、食べたいという脳の信号を引き出す力を持っているのだそうです。



この3つの成分をコントロールすれば、売れる商品を生産することは簡単にできると、この本では述べられています。 

驚くことに、食品の商品開発に最も貢献しているのは、有名パティシエでも、料理研究家でもなく、科(化)学者です。

科学者あるいは化学者たちは、この3つの成分を緻密に計算し、脳に最も快楽を与える配合量を見つけるために、日夜研究を続けています。 

この脳に最も快楽を与える配合量は、「至福ポイント」と呼ばれ、この本の一番の肝となっています。

私たちが自覚以上に食べたり飲んだりしてしまうのも、この至福ポイントの強力な作用によるものなのです。 

糖分の至福ポイントはある濃度を超えると下降しますが、脂肪の至福ポイントには上限がありません。 

また、糖と脂肪は同等に脳で強い報酬反応を引き起こし、更には糖分と脂肪が合わさると、強力な相互作用により、より食品の嗜好性が増すことが分かっています。 

 更には、糖分を加えると脂肪が減ったと感じるらしく、スープやクッキー、ポテトチップス、ケーキ、冷凍食品などは、そのカロリーの半分以上が脂肪によるものであるにも関わらず、糖分を加えることで脂肪の多い食品と感じにくくなると書かれています。

世の中に健康志向が強まると、食品会社はこぞって”低脂肪”と謳った商品を販売しますが、脂肪をちょっと減らしてこっそり糖分を増やすことで、ヘルシー(に見える)で美味しい人気商品が誕生するというわけです。


糖に関してもう一つ知っておきたいことは、甘い飲み物にするとの身体にカロリーとして認識されにくく、私たちの身体にもともと備わっている体重増加を抑制するメカニズムをすり抜けてしまうということです。

要するに、清涼飲料水などの甘いドリンクは、一番太る原因となりやすいということです。 

糖単体では食べ物は魅力的な味になりませんが、そこに脂肪が加わることで人々を夢中にさせる食品が生まれます。 

ソフトクリームなどは良い例ですね。 

最近では塩ソフトクリームや塩キャラメルなんかも人気ですが、塩分にはあらゆる食品の味の魅力を引き出す力があるそうです。 

スイカに塩をかければ、より甘く感じるのもこのためです。

塩はこのように他の風味を強調させる一方で、苦味などの好ましくない風味を覆い隠したり、保存期間を長くするといった役割も果たすため、食品会社にとってはなくてなならないものとなっています。

ざっくりな説明ですが、こうして糖・脂肪・塩の3つの成分を駆使した様々な商品が次々と開発され、何も知らない消費者は、糖・脂肪・塩の過剰摂取の無限ループに嵌ってしまっているのです。


しかし、美味しいものを作ればそれだけで売れるかというと、世の中はそれほど甘くはありません。 

そのために、至福ポイントの研究と同じくらいマーケティングや広告に力を注いでいます。

食品会社は、依存という言葉を「食欲をそそる」、「楽しめる」、「味わいがある」といった言葉に置き換えます。  

 

フードトラップを読んだ後の変化 

ダイエットを始めてから、食べる物には慎重になっている方でしたが, この本を読んで、ジャンクフードや甘いものはもちろん、バタピーなど食欲を爆走させるようなものを食べたいという欲求を、かなり抑えることができるようになりました。 

というより、その実態を知って、そういった食品を食べるのが何だか怖くなったというのが正直なところです。 

もちろん、たまにはスナック菓子や甘いものが食べたくなることはありますが、頻度も量も以前に比べるとかなり減っていますし、ファストフード店にはもう随分長いこと行っていません。

1回20秒。デブ脳から痩せ脳へ変える方法

最後に、食品会社が仕掛けるトラップをすり抜ける、簡単な裏技をご紹介します。

それは、食べる物を選ぶとき、20秒だけ健康について考える、というものです。 

本書では、 「人が食べ物を選ぶとき真っ先に考えるのは、栄養のことではありません。 考えるのは、味や風味、つまり満足感です。」と、至福ポイントに狂いなく合わせた製品、つまりは飛ぶように売れる商品を作るよう食品会社を鼓舞した、オーストラリアの心理学者、ロバート・マクブライドの演説が紹介されています。

ここで、ドイツのエバーハルト・カール大学が行ったある研究をご紹介します。

この研究結果から、私たちが食事に何を選ぶかは、食べる物を選ぶとき何を考えているかに大きく影響されることが分かったそうです。

この実験では、対象者を3つのグループに分けて、それぞれ食事の前に
1.健康について考える
2.味について考える
3.満腹感について考える
という指示を出しました。

結果、1の健康について考えたグループの人たちは、総じてカロリーの少ない食事を選んでいます。 

また、それだけではなく、自制心を司る、左の前頭前皮質が活性化した、つまりは自制心が働くようになったということです。 

因みに、2のグループは肥満体形の人ほどカロリーの高い食事を選び、3のグループは全員の食事量が増えたそうです。

この結果は、マクブライドの発言と見事にリンクしていますね。

味や満足感のことを考えて食事を選ぶ人ほど、食品会社のトラップに嵌りやすいということが言えそうです。

コンビニやスーパーでスナック菓子に手が伸びそうになった時、小腹が空いてファストフード店に飛び込みそうになった時には、是非このことを思い出してみてください。

そして、20秒だけ心を静めて、その食品があなたの健康や体重にどう影響を与えるのかを考えてみてください。

まとめ


今から20年以上前、マクドナルドを相手に肥満の責任を巡る訴訟がアメリカで起こされました。 

このニュースを初めて目にした時、私は「そんなの自己責任やん」と、何でも裁判に訴えるアメリカ人を鼻で笑っていましたが、この本を読んでみて、その考えはガラリと変わりました。 

著者が、”食料品店の店頭に偶然の要素は一つもない”と書いているように、甘いものやスナック菓子、ファストフードを食べたくなるような仕掛けは、そこかしこに仕掛けられているのです。 

この本が出版されたのは今から約6,7年前。 

時代背景や、アメリカと日本の食文化の違いなどを考慮しても、私たち日本人にとっても、全く無関係とは言い切れません。 

事実、日本でも、単身世帯の増加に伴い、加工食品の消費量は今後益々増えていくとみられています。 

そして、日本には糖・脂肪・塩に加え、日本が誇る”うまみ調味料”というものもあります。

あらゆる加工食品にこのうまみ調味料が使われているのは何のためなのか、ここまでの話で容易に推測ができると思います。

砂糖・油・塩をたっぷり使った加工食品が肥満や生活習慣病の原因となっていることは明らかなのに、企業は利益や株主からの圧力に押されて、こういった健康度外視の食品を作ることを止めることが出来ません。 

結局、私たちの身を守れるのは、私たち自身でしかないのです。 

著者は最後に、”最終的な選択権はわれわれの手にある。何を買うか、どれだけ食べるかを決めるのは私たちだ” と書いています。

私は、この著者の主張にとても共感を覚えます。

人間の身体は食べたもので作られています。

それが、知らず知らずのうちに他人にコントロールされているというのは、とても恐ろしいことだと思いませんか?

この本に書かれている、巧みに仕掛けられた食品会社の戦略・戦術を知ることは、私たちが無意識のうちに奪われているかもしれない食欲コントロールの主導権を取り戻す助けとなるのではないでしょうか、という訳で、今回ご紹介させて頂きました。

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