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何もないのが丁度いい、ムアンクア
2023年4月18日 火曜日
ベトナムからのバスが最初に立ち寄るラオスの小さな町ムアンクアで一泊した後、次の目的地ポンサリーへ向けて出発。
バスの乗り換え地点パクナムノイへは、ムアンクアから約1時間。朝8時過ぎに出発したバスは、9時半ごろにはパクナムノイへ到着した。
パクナムノイ
パクナムノイのバス待合所 |
バスを降りて、チケットカウンターらしき窓口の方へ近づくと、待合所のベンチに座っていたおじさんが「どこへいく?」と聞いてきた。
私が「ポンサリー」と答えると、食堂の方を指して「eat(食べろ)」と言う。この一言で、ポンサリー行のバスが来るまでにはまだ時間がかかることを察した。意訳すると、「バスはまだ来ないから、食事でもして待ってろ」ということだろう。
この、バス待ちの乗客に普通に紛れているおじさんは、このバス停を仕切っている係員さんだった。
バス停には行先と料金は掲示されているが、時間は記載されていない。
一応おじさんにポンサリー行のバスは何時に来るか聞いてみたけど、完全スルーされた。必要最小限の英語はできるけど、理解の範疇を越えると聞こえないふりをするスタイルらしい。
バスの料金表 料金は正確 |
私の予測では、ここ(パクナムノイ)でバスを乗り換えるということは、恐らくウドムサイからのバスに途中乗車するということだろう。 ウドムサイからポンサリー行は以前の情報によると9時出発だから、出発時間が大きく変更されていなければ、おおよそ11時前後にここへ到着するということになる。
賑わう食堂 |
閑散とした隣の食堂 |
仮説が正しければ、まだ2時間あるし何か食べようかとも思ったけど、やっぱり長時間バスに乗る前にがっつり食事をするのは不安があるので、食堂や売店を一通り見学して、大人しく待合所で待つことにした。
この機会になかなかできない読書でもしておこう、と本を広げてみたけど、バス停のおじさんが「どこから来た?」「名前は?」としきりに話しかけてくれるので、全く集中できない。
このおじさん、大変フレンドリーなお方で、待合室にいる乗客は皆知り合いなのか、と思う位みんなと親し気に話をしている。私のラオス語力はおじさんの英語力以下だけど、何となくその様子を見ていると、どうも同じ人に何度も行先を尋ねているみたい。その割に、バスが来る度「○○行来たよ」「それ、私じゃないよ」「あれ、誰だったかいな?」みたいなことを繰り返している。私もあやうくウドムサイ行に乗せられるところだった💦
朝はちゃんとポロシャツ着てたおじさん、昼の姿 |
こうしてバス停の人たちを観察するのも、なかなか楽しい。そして、おじさんのキャラが素敵すぎる(笑)
ポンサリー行バス
そして待つこと約3時間。予想より少し遅かったけど、私の仮説はほぼ正しかったようで、12時半にウドムサイからポンサリー行のバスが来た。思っていたより大型のバスだ。待ちかねたポンサリー行バス |
ウドムサイから来た人たちはここで食事休憩を取るらしく、バスから乗客がワラワラと出て来て食堂に入っていく。大型バスだけど、それにしても人が多いような気がする。
皆が降りたすきに、バスに乗って座席を確保...しようと思ったけど、空いてる席がない。どの席もペットボトルなどを置いて確保されている。一番後ろに何も置いていない席があったので、取りあえずそこに荷物を置いておいた。まぁ、あとは乗ってしまえば何とかなるだろう。(←ならなかった💦)
皆が休憩している間外で待つ。その間にトイレも済ませて、出発の準備は万端だ。ずっと行きたいと思いながら、なかなか行く機会のなかったポンサリーにやっと行けると思うとワクワクする。
いよいよポンサリーへ出発...か? |
乗客たちが休憩から戻ってきたので、皆が乗り込んでから再びバスに乗る。
しかし、両サイドの座席だけでなく、通路の後ろ半分は風呂の椅子を補助席にして座っている人達で埋まっていて、さっきカバンを置いた最後尾まで辿り着けない。しかも、カバンを置いたハズの座席にはお坊さんたちが座っている。(お坊さん専用席だから何も置いていなかったらしい)。
バスのど真ん中でうろたえている内に、前半分も風呂椅子補助席で埋まって益々身動きが取れなくなってしまった。
こうなったら、途中で誰か降りるかもしれないし、立ち乗りで行くしかない、と覚悟を決めたその時、運転手が乗客の確認にやってきた。運転手に身振り手振りで、「一番後ろの席にカバン置いたままなんだけど、OK?」と伝えてみたけど、理解したのかしてないのか、何も言わずにまた前の方に戻っていってしまった。無言はOKと勝手に解釈しておく。
全員がバスに乗り込んだと思われる頃、前の方から「ファラン!」と呼ぶ声が聞こえた。(※ファラン=外国人)
今このバスの中にいる外国人は私一人なので、どう考えても私のことである。
振り向くと、運転手が前の方から「カバンを持ってこっちへ来い」とジェスチャーで伝えてきたので、「一番後ろにあるから取れない」とジェスチャーで返す。
すると、バスから降りた運転手は、今度は窓の外から、また「カバンを取ってこい」とジェスチャーしながら手招きしている。
どこかに席を用意してくれているのだろうかと淡い期待を抱きながら、乗客たちを掻き分け、押しのけ、お坊さんの足元にあったカバンを何とか確保した。そして、さらに乗客を掻き分け、押しのけ、カバンを持って這う這うの体で一番前まで辿り着いた。皆さん、迷惑かけてごめんなさい🙇
するとこんどは運転手じゃなく、もう一人の車掌さんが来て、バスを降りろと言う。まさか、満員だから降りろということなのか?ウソやん。
ここまで来て置いて行かれてはたまらないので、私も「ポンサリー、ポンサリー」と思いっきりポンサリー行きたいアピールをして粘るも、車掌は降りろの一点張り。
運転手が戻って来て運転席に座ったので、今度は運転手に「ここに立ったままでいいから、乗せて」と訴えてみる。しかし、運転手も首を横に振るだけ。結局強制的にバスから降ろされた。
バスを降りると、待合所で一緒にバス待ちをしていた人たちが何人かバスの前に立っていた。この人達も乗れなかったようだ。
タイやインドならこういう場合、代替えのバスに乗せてもらえたりすることもあるのだけど、ラオスではそのようなサービスを期待する方が間違っているようだ。バスは本当に私たちを置いて出発してしまった。
あぁ、無情(´;ω;`)ウッ…
ラオスの旅は余裕を持って
意気消沈して待合所の方へ戻っていくと、バス停のおじさんが「もう一便あるから待て」と言う。ウドムサイからポンサリーへは9時発と14時発の2便あるとの情報もあるにはあるが、あまり当てにならない。仮に14時発があったとしても、ポンサリーに到着するのは夜になってしまう。ポンサリーのバスターミナルから宿のある町まではかなり距離があり、トゥクトゥクなどの乗り物はあまり期待できないので移動手段は徒歩覚悟、という情報を事前に目にしていたので、できれば夜の到着は避けたかった。
このような想定外の事態に陥った場合、まずは冷静にならなければならない。バスがあったとしても来るのは恐らくまだまだ先なので、取りあえず何か食べよう。
朝食の残りのバナナと昨日ムアンクアで買っておいた非常食のお菓子をカバンに入れていたので、待合所で食べる。宿で水筒に入れてきたポンサリーのお茶を飲み、ひとまずホッと一息ついた。
もう一便来るというおじさんの言葉を半分信じて待ちながら、バスがなかった時のために別プランを考える。
プランA:ここ(パクナムノイ)で一泊して、翌日の便に乗る
プランB:一旦ムアンクアへ戻って、翌日再チャレンジする。
プランC:ムアンクアへ戻って、ポンサリーは諦めてルアンナムターへ直行する。
プランD:ポンサリーは諦めて、ウドムサイ~ルアンナムターへ向かう。
考えられるのは、以上4つのプラン。
A➡バス停から歩いてすぐの所に一軒ゲストハウスがあるのは確認済みだが、翌日も同じことになる可能性大。
B➡同上
C➡時刻表には載っているが、ポンサリー行同様、直行バスはなくここ(パクナムノイ)又はウドムサイで乗り換えになる可能性大。時間の無駄。
この中で一番現実的なのは、プランD。どちらにしても、今日中にポンサリーに到着できなければ後半のスケジュールに支障が出てくることは必至。長年の悲願であったポンサリー行を諦めるか、無理してでも行くべきか、悩むところ。
山火事?
ポンサリー行のバスに取り残された組の人たちも大人しく待合所で待機しているので、半信半疑ながら次のバスを待つ。
ずっと座っているのも疲れるので、運動がてら辺りをうろうろ散歩する。食堂の裏には川があり、橋を渡ったところに一軒のゲストハウス兼食堂がある。その向い側は市場のようだが、バスがいつ来るか分からないのでそこまでは行かずにゲストハウスの前まで行って引き返した。
ふと見ると、遠くの山からもうもうと煙が出ているのが見えた。
うしろの山からもうもうと立ち上る煙 |
煙の間から赤い炎が上がっているのが見える
周りの人の様子を見る限り、多分焼き畑か山を切り開く工事をしているのだろう。内心ちょっと興奮しながら、周りの人達に合わせて何でもない風を装う。だって、大人だから。
待合所に戻って暫く読書の続きをしていると、急に突風が吹きだして砂埃が舞い上がる。食堂の前のパラソルも飛んでいく。
ベトナムからここまで殆どマスクをしていなかったが、ここでようやく用意していたマスクをつけた。ラオスの人たちがマスクをしているのも初めて見た。
バスを待っている間、何台ものバスが休憩に立ち寄ったり、通り過ぎて行ったが、外国人が乗っているのが見えたのは、ベトナム行きとベトナムから来たバスだけだった。
そういえば、バスの事で頭が一杯で、両替の事をすっかり忘れていたけど、ここはベトナムーラオスのバスが必ず通るところなので、食堂で聞けばもしかすると両替できたかも。
もう一つのポンサリーへ行く方法
そうして、本を読んだり、ブラブラしたり、通り過ぎていくバスを眺めたりしながら時間を潰していると、3時半頃になっておじさんが「今日はもうバスないよ」と言ってきた。ほら、やっぱりね。
想定内だったし、それなら早いうちにムアンクアに戻ってもう一日ゆっくりしようかな、とプランBに少し気持ちが傾き始めた頃、一台のミニバスが待合所の前に停まった。
離れたところでお巡りさんらしい制服を着た人とお茶しながら寛いでいたおじさんが急いでやって来て、おもむろに「これに乗れ」と、どこへ行くのかも分からないバスに私を乗せようとする。
どこ行きかと尋ねると、”Boun Neau”とのこと。どこだよ、それ。
バスはエンジンをかけたまま、乗客がいなければすぐにでも発車しそうな態勢で待機している。運転手さんの「乗るの?乗らないの?」とでも言いたげな視線がつきささり、考えている時間も、調べている時間もない。 もう少し日程に余裕のある旅なら思い切って乗ってみただろうが、今回の旅は見知らぬ所へ行くことを即決できるほど、スケジュールに余裕がない。
私が迷っている間に、ポンサリー置いてけぼり組の人がそのバスに乗ろうとしていた。その人が私の所に「今日はポンサリー行のバスはもうないよ」と片言の英語で教えに来てくれた。「このバス乗らないの?」と聞かれたので、自分でも何故か分からないけど「乗らないよ」と即答していた。
そのお兄さんは、まだ何か言いたげな顔をしていたけど、そのまま何も言わずにバスに乗って行ってしまった。後になって思えば、恐らくこのバスに乗ればポンサリーへ行けるということを私に伝えたかったけど、それを英語で説明することができず諦めたのではないかと思う。
ラオス人のそういう奥ゆかしいところ好きだけど、欲を言えばもう少し頑張って欲しかった…と、自分のラオス語力は棚にあげて思ってしまう私。
バスが行ってしまった後、改めて”ブオンヌア”がどこにあるのか調べてみると、ポンサリーへ行く途中にある町のようだった。空港もあるようなので、それなりに大きな街なのかも。グーグルマップによれば、バスターミナルの近くに手頃なホテルもあるらしい。そして、ブオンヌアからポンサリーまではバスで1時間程で、朝から何本も出ていることが分かった。
これが正しければ、ポンサリー行くのにわざわざ窮屈な満員バスに長時間乗って、重い荷物を担いで宿を目指して夜道を歩くより、ブオンヌアで一泊して一息ついてから、朝バスでポンサリーへ向かう方がよっぽど楽だし効率がいいのではないかと思った。勇気のある人は、是非試してみて欲しい。
プランD
今更何を言ったところで、もう後の祭りなので、今回のポンサリー行きはスッパリと諦めて、プランD:ウドムサイ〜ルアンナムタールートに変更することにする。
ブオンヌア行きに「乗らない」と口から吐いて出たのは、きっとその方が結果的に良かったと言うことなのかも知れない。
ちょっとスピリチュアル的な話になるけど、こういう時、私は結構自分の直感を信じているし、流れに任せた方が良い結果になると思っている。
それはさておき、その後わりとすぐにウドムサイ行きのバスが来たので、長い一日を過ごしたパクナムノイとも、素敵キャラのバス停のおじさんともここでお別れ。バスの料金はバス停おじさんが回収に来たので、ウドムサイまでの料金60000キープを渡すと、コソッと10000キープ返してくれた。優しさが身に滲みる。
バスに乗る時、ちょうど朝ムアンクアから乗って来たウドムサイ行きのバスが戻って来たところだった。
夕方6時過ぎ、ウドムサイに到着。
長くなったので、次回に続く。
まとめ
パクナムノイからウドムサイ バス:60000キープ。ムアンクア-パクナムノイは50000だったのでウドムサイまでトータル110000かかった。(実際は100000)
ムアンクア-ウドムサイ直なら70000,なので、40000の損。
ムアンクアの料金表によると、ムアンクア-ポンサリー直で170000だけど、パクナムノイ乗り換えの場合は、50000+130000=180000(2023年4月時点では乗り換えのみ)
パクナムノイでバスを乗り換える際は、乗れないこともあるので要注意。
ポンサリーへ行く場合は、ウドムサイから乗車がおすすめ。
もうひとつ可能性として、ブオンヌア経由ルートもあり。(←未確認のため保障はない)
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